はじめに:「風邪の入り口は、いつも『粘膜』から」
冬の空気が乾きはじめると、
施設や家庭の中にも少しずつ「咳」「くしゃみ」「鼻声」が増えてきます。
風邪のウイルスは、私たちの体の「玄関」である喉や鼻から入り込みます。
そこを守っているのが、目には見えないけれどたしかに存在する「粘膜バリア」。
乾燥、疲れ、栄養不足のどれかひとつでも崩れると、
このバリアは薄くなり、ウイルスはあっという間にすり抜けてしまいます。
栄養士の視点から見ると、風邪に負けにくい体をつくるには「粘膜を育てる仕事」です。
目次
① ビタミンA:細胞を丈夫にする「うるおいの設計士」
② ビタミンC:免疫の司令塔を支える「応援団」
③ たんぱく質:粘膜も免疫も『形づくる材料』
「食べ方」そのものがバリアを支える
栄養は「何を食べるか」だけではなく、『どう食べるか』でも変わります。
冬の粘膜を守る食べ方には、いくつかの小さな工夫があります。
■よく噛む
噛むことで唾液が分泌され、口内が自然にうるおいます。
唾液には抗菌作用があり、最初の防御ラインを強化してくれます。
■汁物を添える
1食に1つ「温かい汁」があるだけで、水分補給と温度維持の両面から喉を守ることができます。
喉の乾燥を防ぎ、粘膜細胞の回復を助けます。
■飲み物は温度に気をつける
冷たい飲み物は喉を一時的に冷やすため、
温かい飲み物の方が粘膜の血流を保ちやすく、やさしいとされています。
常温または温かい飲み物を選ぶことで、体を無理なく守る習慣が続けやすくなります。
「よく噛む」「温かい」「やさしい温度」
この3つは、栄養士が処方する『見えないサプリメント』です。
冬の栄養士が考える『バリアの哲学』
おわりに:「あたたかい食事が、心の免疫も強くする」