手洗いが、『安心の厨房』をつくる

食中毒の発生要因のひとつに、手洗いの不足があります。

手は「移動する接触面」として、ドアノブや調理器具、配膳台などを介し、目に見えない菌を食品へと運んでしまうことがあります。

特に介護施設では、利用者の免疫力が低下していることが多く、ほんのわずかな菌でも体調を崩すおそれがあります。

 

だからこそ

調理や配膳の前後に正しい手洗いを徹底することが、食中毒を防ぐうえで最も大切です。

 

厨房の衛生管理において、基本であり、そして何より重要なこと。

それが「手洗いに始まり、手洗いに終わる」という考え方です。

 

どんなに設備が整っていても、

どんなに作業が効率化されていても、

『人の手』が清潔でなければ、安全な食事は守れません。

 

介護施設の厨房では、

一人ひとりの手洗いの質が、そのまま利用者の安心につながります。

手洗いの重要性

「手洗いに始まり、手洗いに終わる」とは?

厨房作業の基本として「区切りごとに手洗いを行うこと」が定められています。

つまり、

作業を始める前

生肉や魚、卵等を扱った後

ゴミ処理や清掃等の後

配膳・盛付けに移る前

調理を終えた後

これらのタイミング等で、必ず手洗いを行うことが求められています。

厨房の衛生は、『手洗い』で始まり、『手洗い』で締めくくられる。

それが、すべての基本です。

 

 基本の5ステップ

「手洗い」で清潔を確実に守る

1. 流水で予洗い

 手の汚れや油分をざっと落とします。

2. 洗剤でしっかり洗う

 指先・指の間・爪の中・手首まで、泡で包み込むように洗います。

3. 流水で丁寧にすすぐ

 石けんの成分が残らないようにしっかりすすぎます。

4. もう一度、洗剤で洗う(2回洗い)

 1回目で落としきれなかった汚れ・菌を確実に除去します。

5. 再度すすぎ → ペーパータオルで水分を拭き取り、アルコール消毒で仕上げる

 清潔な使い捨てペーパータオルを使用し、乾いた後にアルコール消毒を行います。

 

この流れを、丁寧に行うことが推奨されています。

洗浄とすすぎを丁寧に2回繰り返すことで、

手指に付着した汚れやウイルスを効果的に減らすことができます。

手洗いが、厨房全体の安心を守る最大の予防策。

「手洗いに始まり、手洗いに終わる」が、すべての基本です。

 

手洗いは『人の衛生力』

人の手は、厨房の中で最も多くの場所に触れる「移動する接触面」です。

ドアノブ、冷蔵庫、調理器具、配膳台など

それらのどこにも、目に見えない菌やウイルスが潜んでいます。

しかし、正しい手洗いを徹底するだけで、

ノロウイルス、黄色ブドウ球菌、サルモネラ属菌などの

食中毒原因菌・ウィルスを大幅に減らすことができます。

どんな衛生機器よりも、最も確実に厨房を守るのは「人の手洗い」。

手洗いは、すべての衛生の出発点です。

まとめ

「手洗いに始まり、手洗いに終わる」

手洗いは、厨房における最も確実で、最も効果的な衛生対策です。

日々の小さな積み重ねが、

利用者の健康、施設の信頼、そして働く人の誇りを守ります。

✋ 手を洗うことは、安心を届けること。

その意識が、『清潔で信頼される厨房』をつくります。

 

【出典】:

厚生労働省『大量調理施設衛生管理マニュアル』

厚生労働省『ノロウイルス等の食中毒防止のための適切な手洗い』(動画)